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環境報告書 | KEK

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(2)

高エネルギー加速器研究機構は大型の粒子加速器を建設・運転し、加速器科学の総合的発展の拠点として 研究を推進し、国内外の共同利用者に研究の場を提供するという使命を有しています。研究活動を行うに当たり、 地域、地球環境保全は不可欠であることを認識し、持続可能な社会の創造のため取り組んでいる活動について 職員、共同利用者、学生、関連企業、地域住民など幅広い層の方々にご理解いただけるよう作成しました。環 境という概念を広く捉え、機構の社会的責任を念頭において教育、地域交流等の社会貢献活動、労働安全衛 生管理の状況についても記載しました。

■ 対象期間 2014 年 4 月∼ 2015 年 3 月

※この期間以外はそれぞれに明記しています。

■ 対象範囲

大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構

 ・つくばキャンパス   〒 305-0801 茨城県つくば市大穂 1-1

 ・東海キャンパス   〒 319-1106 茨城県那珂郡東海村大字白方 203-1

■ 作成部署 高エネルギー加速器研究機構 環境報告 2015 作成ワーキンググループ、

施設部施設企画課 施設企画係、環境安全管理室

■ 問合せ先

環境安全管理室

〒 305-0801 茨城県つくば市大穂 1-1

TEL:029-864-5498 E-mail:[email protected]

■ 公  開 2015 年 9 月

那珂IC

友部JC

日立南太田IC 日立南太田IC

至いわき 国道349号

至東京

国道6号

JR常磐線

至日立

東海駅 駈上交差点

笠松運動公園

PC DEPOT けんしん

東海村役場

原

 研  通  り

二軒茶屋交差点 (案内看板あり)

北

関

東

自

動

車

道

・

東

水

戸

道

路

常磐自動車道

東海スマートIC (東海PA出口) 東海キャンパス周辺マップ

J-PARC ユーザーズオフィス

孫目十字路交差点

首都 圏中

央自 動車

道

東京方面 谷田部 IC

国道125号線

桜土浦 IC

国道354号線

土浦学園線

国道408号線

つ ばく スク

エ プ スレ

下妻方面 下館方面

常磐自動

車道

つくばJCT つくば中央IC

り 通 大 東 園 学

り 通 大 西 園 学 KEK つくばキャンパス

●バス停

つくばセンター

つくば駅 研究学園駅

万博記念公園駅

みどりの駅

つくばキャンパス周辺マップ

つく

茨 城

J R

常

磐

線

つくば

エク

スプ

レス

LN

KEK つくばキャンパス

茨城空港

県

KEK 東海キャンパス

■ つくばキャンパス

 つくばエクスプレス「つくば駅」下車、路線バスで約 20 分  常磐自動車道「桜土浦」インターより約 30 分

■ 東海キャンパス

(3)

トップメッセージ ・・・・・1

KEK 2014 ハイライト ・・・・3

機構の役割と組織 ・・・・ 10

環境マネジメント ・・・・ 18

環境関連トピックス ・・・ 36

社会との関わり ・・・・・ 44

用語集・・・・・・・・・ 54

第三者意見・・・・・・・ 57

編集後記・・・・・・・・ 58

• 金・白金・ウランはどこでできたのか? • 「観る」ということ

• J-PARC の RCS で 1 MW 相当のビーム加速に成功

• KEK とは

• KEK の目指すもの • 機構の組織 • 基礎データ • 実績データ

• 環境方針 • 環境管理体制

• 環境目標・計画と達成度 • 環境負荷の全体像 • エネルギー • 温室効果ガス • 物質

• 水資源 • その他の資源 • 大気

• 環境会計

• 環境関連法規の遵守状況

• 光合成の初期過程をモデル化合物で再現

• 福島の土壌が僅かなセシウムの取り込みにより多量の セシウムを呼び込むメカニズムを解明

• コレクタ電位降下型(CPD)クライストロンの開発 • Green500

• 機構内工事における環境配慮

• KEK キャラバン • 科学者を育てる活動 • 地域との共生活動 • 産学官の連携活動 • 広報活動

• 安全安心文化の醸成 • 住民説明会

• 職場環境の向上

用語・略語について

(4)

トップメッセージ

機構長からのメッセージです。

大学共同利用機関法人

高エネルギー加速器研究機構 機構長

高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、大型加速器を中心施設とする国際的な共同利用・共同研究拠点であり、 宇宙・物質・生命の謎を解明するための基礎科学やその応用研究を推進して人類の知的資産の拡大に貢献して います。

加速器は 1930 年代以降科学の発達に重要な役割を果たしてきました。その中で KEK は基礎研究はもとよ り、新しいサイエンスや応用研究のフロンティアを後押し、国内だけではなく国際的な加速器拠点として活動を 続けています。現在つくばキャンパスでは放射光利用のための電子加速器である PF と PF-AR が稼働しており、 SuperKEKB と呼ばれる電子・陽電子衝突型加速器は 2015 年度末の運転開始を目指して建設が最終段階を迎え ています。また、東海キャンパスでは日本原子力研究開発機構との共同プロジェクトである大強度陽子加速器施 設 J-PARC において素粒子から物質・生命科学に至る幅広い研究が行われています。これらはいずれも世界最高 水準の性能を誇る加速器で、そこで行われる研究は世界の科学研究をリードすると同時に国内における学術レベ ルの維持向上や、後進の育成にも大きく貢献しています。

KEK における研究開発の事業活動を環境負荷の側面から見ると、エネルギー利用の大部分が大型加速器とそ の付帯設備及び大型コンピュータ等を稼動させるための電力であることが大きな特徴となっています。このため、 加速器などの運転におけるエネルギー利用計画及びその効率的運用に関する年次計画を策定し、実効力のある エネルギー管理を行っています。

(5)

一方、オフィスや基盤施設の一般需要については、省エネパトロールを実施するなど、教職員が一丸となって 環境負荷低減に対する積極的な取組を進めています。このような取り組みにより、一般需要による CO2排出量に

ついては、建物面積は増加しているにもかかわらず 2006 年度比で 13% の削減を実現しました。

KEK で行っている基礎的な科学研究は、国民の皆様のご理解とご支持をいただいて、初めて成り立つものです。 このことを深く心にとどめ、地球環境保全の大切さを認識しつつ、今後も省エネルギー、省資源、資源循環を 推進します。安全の確保と法令順守に十分配慮し、これらに関する情報を積極的に開示し、地域社会と連携し た環境配慮活動に取り組みながら研究を進めていきたいと考えています。

(6)

KEK 2014 ハイライト

KEK における 2014 年度の研究ハイライトを紹介します。

金・白金・ウランはどこでできたのか?

私たちの体や身の回りの物質を構成する元素、それは陽子と中性子から成る約 300 種類の原子核(同位元素) で構成されており、ほとんどは星の生成・発展・消滅の過程で出来たとされています。それでは経済的価値の高 い金や白金、核分裂を起こすウランは、どのような天体で生まれたのでしょうか? この疑問は、20 世紀から今 日まで引き継がれた基礎科学上の重大な問いの一つです。

原子核は、核反応と崩壊によって異なる原子核へと変化します。鉄より重い原子核の場合、電荷のない中性子 を捕獲する反応で元素合成が進みます。新たに生まれた原子核は、ある寿命で電子とニ4ュートリノを放出しなが ら中性子が陽子に壊変し(βー- 崩壊)、原子番号が一つ増えた原子核となります。適当な数の中性子があれば、

安定な原子核の周りで、これを次々と繰り返して重元素生成が続くはずです。しかし、これだけでは全ての重元 素の由来を説明できません。ビスマス(原子番号 83)とウラン(原子番号 92)の間には、ヘリウムを放出して壊変 する(α - 崩壊)領域があり、中性子捕獲の連鎖が切れてしまいます。

大量の中性子を一気に捕獲させたらどうでしょう? 安定な原子核から遠く離れた不安定な原子核(図 1 の紫 線上の原子核)が一気に生成され、βー- 崩壊と競合しながら金・白金・ウランなどの重元素も生み出せるのでは

ないでしょうか? これが速い中性子捕獲過程(R- 過程と呼ばれる)と呼ばれる元素合成のアイデアです。 最近の宇宙物理・天文観測の進展では、初期質量が太陽の 10-30 倍という大質量星の超新星爆発や、中性子 星同士の衝突などが R- 過程の候補とされています。候補天体を絞り込むには、関与する中性子過剰な数千個の 原子核の寿命や質量、崩壊様式などの原子核情報が必要です。

図 1. 原子核を陽子数(原子番号)と中性子数で分類した核図表。

■ ■

■    放射性同位元素

■   (半減期で色分け)

■

■      ■ 安定同位元素

■ 未知原子核

― R- 過程の推定経路

(7)

まず問題となるのは、R- 過程の種となる鉄の生成量評価です。超新星爆発の場合、中心部にできた原始中性 子星表面で、すべての元素が陽子・中性子に分解された後で元素生成が始まります。鉄の生成量を見積もるため には、安定同位元素がない質量数 4 と 8 を飛び越える核反応率を知らなくてはなりません。その一つが 2 個の

図 2. 9Be の核構造モデル。

(a)ヘリウムと中性子がほぼ独立に存在する場合 (b)ヘリウムと中性子が結合している場合 (c)ヘリウム同士が結合している場合

図 3. 理研に設置した KEK 共同利用実験装置 KISS。

関連サイト

KISS プロジェクトの説明ページ ≫ http://kekrnb.kek.jp/kiss.html

KISS プロジェクトに関連する国際ネットワークのページ ≫ http://kekrnb.kek.jp/iglis-net/

ヘリウム原子核(α)と1 個の中性子(n)から質量数 9 のベ リウム(9Be と書く)を作る核融合反応です。反応率推定に

は、ヘリウム原子核と中性子がぶどう状に結合した(図 2)

9Be の核構造に対する理解が欠かせません。そこで KEK

では阪大の研究グループなどと共同して、回転軸を揃えた 不安定な原子核9Li から、空間的に偏って放出されるβ

-線と同時放出される中性子を測定して、βー- 崩壊後の9Be

の核構造を調べました。カナダ TRIUMF 研究所で行ったこ の実験は、従来の模型と矛盾した結果を示し、反応率評 価の見直しを示唆するものとなりました。

ところで、図 1 の元素存在比には幾つかのピークが見ら れます。これらは R- 過程経路上で比較的長い寿命を持つ 滞留核と呼ばれる原子核(図 1 の黒枠領域)が崩壊するこ とにより生まれました。滞留核は、その残存量が温度や中 性子量などの R- 過程進行中の天体環境と、滞留核自身の 寿命や質量から決まることから、R- 過程の環境を調べる 上でのもう一つのキーポイントとされています。

KEK では、金や白金で構成される存在比ピークの起源と なった滞留核を人工的に生成・観測するために KISS プロ ジェクトを進めています。このプロジェクトでは新しく開発 した実験装置 KISS を使って、加速器からの重イオンビーム で生成された大量の未知原子核から、特定の原子番号と 質量数をもつ単一種の滞留核を選別し、その寿命と質量 の測定を目指しています。そのために、アルゴンガスによ る原子核の中性原子化とレーザーによる共鳴イオン化とい う最新の実験手法が KISS に投入されました(図 3)。

(8)

「観る」ということ

不透明な容器に何かが入っている。フタを開けることなく、中身を当ててもらいたい。

容器は直径 8 センチ、高さ 15 センチ足らずのプラスチック製、茶筒のような円筒形をしている。手に持って振 ると、カラカラと音がする。――― 硬い、軽いものらしい。動きからすると、小さいもの、3 センチくらいだろうか。 そのうちある一人が磁石を持ってきて調べ始める。

これは高校生向けに行われたイベントでの一幕です。目では見えないものを調べる時、音や磁力など、いろん なものを使って反応から中身を推測します。手法や対象は違っても、研究の現場でもやっていることは基本的に 同じです。可視光で観測できなければ、X 線で、中性子で ... と様々なビームを当てて、多角的に情報を得ます。 そうして初めて物質の姿が明らかになっていくのです。

図 1. 磁石上に浮く超伝導体(YBCO) 磁場を退ける「マイスナー効果」と、超伝 導内部に磁束が入り込む「ピン止め効果」 により超伝導体が宙に浮く。

今回調べられたのは、鉄とヒ素から成る「鉄系超伝導物質」です。 2008 年に東京工業大学の細野秀雄教授らによって発見されたもので、 鉄を含むにも関わらず超伝導状態を示すことが、物質科学に大きなイ ンパクトを与えました。超伝導は、物質の温度を下げていくと、ある 温度で突如電気抵抗がゼロになり、外からの磁場を完全に退ける現象 のことです。超伝導というと、白煙をたなびかせながら浮上している画 を思い浮かべる人も多いでしょう(図 1)。この現象は超伝導物質が磁 場を自らの外に退け、磁石同士が反発するかのような力が働き浮上す るものです。超伝導状態は強い磁場によって壊されるため、超伝導物 質の材料には鉄やニッケルなど磁性を持つ元素を使用しないのが、暗

電気抵抗ゼロで電子が動く「超伝導」の担い手は、もちろん電子です。そのためには物質中の電子がどのよう な状態で、どのくらい存在するかが重要になります。材料開発では、電子の濃度を変えながら性質を調べていき ます。鉄系超伝導体は、鉄とヒ素がシート状になった骨格で構成されています(図 2)。超伝導体とは言うものの、

電子が多いほど良い?

黙の常識でした。ところが、発見された鉄系超伝導物質は、タブーである鉄を含むだけでなく、その転移温度も 55 ケルビン(-218 度)と超伝導物質群の中では比較的高い温度で超伝導状態になることが衝撃的で、新しい原 理による超伝導ではないかと研究が進められています。

(9)

図 3. LaFeAs(O1-xHx)の電子状態相図

左は 2012 年に発見された超伝導相(ピンク色部分)。右が今回発見された磁気秩序相(右側の青色部分)を含む相図。

●がミュオンと中性子により同定された磁気転移温度。■が放射光により同定された構造変化の温度。

ここから研究者にとって、不透明な箱の中身を探る作業が始まります。超伝導が出るのか、あるいは ... という 性質を調べるにはミ4ュオンが有効です。ミュオンは素粒子の一種で、加速器で作られるミュオンはスピンの方向 が全て揃っているために、原子サイズの方位磁針のように利用できます。物質中にミュオンを注入すると、ミュオ ンが物質の磁場に反応して動くため磁場分布を細かに調べることができます。もし超伝導を示すならば、外から 磁場をかけたとしても、ある大きさ以下の磁場では完全に磁場を退ける完全反磁性となります。つまり外部から かけた磁場と同じ大きさの反磁場が超伝導体内部に生じて、超伝導体内部の磁場は完全にゼロになるのです。も し物質中に何も磁性が生じていなければ、ミュオンスピンはそのまま保持され、磁性があればそれに反応して向 きが変わります。これを利用して高濃度側の状態を調べると、電子濃度が 0.4 を超えたあたりで超伝導状態が消 滅、代わりに磁性を示す状態が現れることが分かりました。図にすると、ちょうど左右対称のような分布で磁性 状態と超伝導状態が現れていました(図 3 右)。

さて、どんな性質が現れるか?

図 2. LaFeAs(O1-xFx)の結晶構造の模式図

(10)

図 4 左 . 中性子で同定された磁気構造。赤と青の矢印は Fe2As2層で鉄イオンが持つ磁気モーメントの向きを示したもの。

図 4 右 . 放射光 X 線で同定された構造変化。構造変化に伴う鉄の原子位置の変化の向きと大きさを模式的に示したもの。

関連サイト

2014 年 6 月 9 日 KEK ハイライト 「観る」ということ

≫ http://www.kek.jp/ja/NewsRoom/Highlights/20140609130000/

この実験を中心的に行ってきたのは、平石雅俊 KEK 物構研博士研究員です。2008 年に鉄系超伝導体が発見 されてすぐにこのテーマに着手しました。そして 2009 年には超伝導電流の流れを調べ、鉄系超伝導は銅酸化物 とは異なるしくみで超伝導が起きていると予感させていました。今回の実験には、小嶋健児准教授、中性子から 平賀晴弘特任准教授、放射光から山浦淳一特任准教授と、KEK 物構研の各量子ビームのエキスパートが加わり多 角的な測定を行いました。鉄系超伝導のしくみそのものはまだ分かりません。不透明な箱の中身を探る作業はま だ続いています。

では磁性の原因はどこからきているのでしょうか? これを調べるために登場するのは中性子です。中性子も 一粒ずつがスピンを持っているため、物質中の磁場を調べることができます。ただしミュオンが結晶の格子間に 入り込んで、ミュオン周辺にある原子からの局所的な磁場の情報を得るのとは対照的に、中性子は物質を構成す る全ての原子と相互作用し結晶全体にわたる巨視的な散乱情報を観ることになります。これによって、磁性の原因 がやはり鉄原子にあり、その磁気モーメントが一列ごとに交互に並んでいることが分かりました(図 4 左)。また この時の結晶構造を X 線で調べると、歪みが生じていることも明らかになりました(図 4 右)。これらの変化は、 低濃度側で見られる磁性状態とも異なっており、今後詳細な研究が進めば、鉄系超伝導発現のしくみの解明が 期待されます。

(11)

J-PARC の RCS で 1 MW 相当のビーム加速に成功

2015 年 1 月 10 日、4J-PARCの 3 Ge4Vシンクロトロン(Rapid Cycling Synchrotron, RCS)は、パルス当たり 8.41 x1013 個の陽子の入射、加速、取り出しに成功しました。これはシングルショットで行った試験運転ですが、RCS

の繰り返し 25 Hz の連続運転に換算すると RCS の設計仕様値である1 MW に相当する粒子数です。安定な利用 運転を行うには高周波加速系の電源を増強するとともに、さらに詳細なビーム試験を進める必要がありますが、 1 MW のデモンストレーションに成功したことは J-PARC にとって重要なマイルストーンです。今後は段階的にビー ム強度を増やしながら1 MW の利用運転開始を目指します。

J-PARC の加速器は、リニアック、RCS、遅い繰り返しの主リングシンクロトロン(Main Ring Synchrotron, MR) から構成されます(施設の配置は p.15 参照)。リニアックで加速された H(負水素イオン)ビームは、荷電変換用−

炭素薄膜によって電子 2 つを剥ぎ取られ、H(陽子)に変換されて RCS に入射されます。RCS で 3 GeV まで加速+

された陽子ビームは、物質・生命科学実験施設(Materials and Life Science Experimental Facility, MLF)に送られ て中性子及びミュオンの生成に用いられるとともに、その一部は MR への入射ビームとして用いられます。MR に 入射されたビームは、30 GeV まで加速されて遅い取り出し法によってハ4ドロン実験施設へ、速い取り出し法によっ

てT42K 実験(東海 - 神岡間長基線ニュートリノ振動実験)を行うニュートリノビームラインへ送られます。

J-PARC の設計仕様値は RCS で 1 MW、MR の速い取り出しで 750 kW です。これらの設計仕様値を実現する ためには、リニアックにおいてビームエネルギー 400 MeV、ピーク電流 50 mA が求められますが、建設当初、リ ニアックはエネルギー181 MeV、ピーク電流 30 mA という仕様でスタートしました。この場合の RCS のビーム強 度は最大 600 kW です。

J-PARC 加速器は 2009 年の利用運転開始以降、ビーム試験を進め ながら徐々にビーム強度を増強してきました。東日本大震災による 9 ヶ 月間の運転停止期間もありましたが、2012 年以降 RCS は 300 kW の ビームを MLF に供給するとともに、500 kW を超えるビーム強度での 試験運転も進めてきました。さらにそれらと併行して、リニアックの ビームエネルギーを 400 MeV に上げるための環状結合空洞型リニアッ ク(Annular-ring Coupled Structure Linac, ACS)の開発、ピーク電流 を 50 mA に上げるための高周波駆動型イオン源と高周波四重極型リ ニアック(Radio Frequency Quadrupole Linac, RFQ)の開発などを行っ てきました。

2013 年は 3 ヶ月間の夏期停止期間を 6 ヶ月に延長し、ACS システ ムを設置する計画でしたが、5 月 23 日に発生したハドロン実験施設 の事故により、J-PARC はさらに長期にわたり利用運転を停止すること となりました。その停止期間中に加速器グループは事故の再発防止策 を検討するとともに、当初の計画通りにリニアックの下流部に 25 台の ACS 空洞を設置し(図 1)、ビームエネルギーを 400 MeV に増強しまし た。さらに翌 2014 年の夏期停止期間中に、高周波駆動型イオン源と 大電流加速用 RFQ の設置を行い(図 2)、2014 年 10 月にリニアックは ビームエネルギー 400 MeV、ピーク電流 50 mA での試験運転に成功 しました。

図 1. リニアック下流部に設置された ACS 空洞

(12)

一方、入射ビームのエネルギーを 181 MeV から 400 MeV に上げるために、RCS では入射に用いるシフトバン プ電磁石の電源を更新するとともに水平ペイントバンプ電磁石の電源を増強する作業を行いました。従来のシフ トバンプ電源は IGBT(大電力を高速でオン/オフ可能な半導体素子)のスイッチングに起因する電流リップルノイズ がビーム損失の要因となっていましたが、新しい入射シフトバンプ電源ではコンデンサの充放電を利用した転流 方式を採用し、リップルノイズを大幅に低減することができました。

2014 年 10 月にリニアックがピーク電流 50 mA を達成した後、RCS にお いても大強度ビーム試験を開始し、2015 年 1 月には、シングルショットで 設計仕様値となる1 MW 相当の入射・加速・取り出しに成功しました。図 3 に 1 月の大強度試験において得られた RCS の周回粒子数の電流モニタに よる測定結果を示します。横軸は RCS のビーム入射から加速、取り出しま での時間 20 ms(0.02 秒)です。4.73x1013から段階的にパルス当たりの粒子

数を上げ、最大で 8.41x1013のビームを入射していますが、途中でビーム強

度が減衰することなく安定に加速できていることがわかります。この粒子 数は、25 Hzで連続運転した場合に 1.01 MW に相当する粒子数です。

さらにこのときのビーム損失の測定結果を図 4 に示します。(上)は RCS の入射部のすぐ下流に位置するコリメータ部におけるビーム損失、(下)は入 射直線部の下流側の第 1 アーク(おにぎりの形をした RCS の最初の曲線部)

においてディスパージョン*1が最大となる場所近傍のビーム損失です。入射 図 3. RCS における大電流試験で得

られた周回粒子数の時間変化。

図 4. RCS の大電流試験におけるビーム損失の測定結果。 (上)コリメータ部、(下)第 1 アークのディスパージョン*1

ピーク付近。

関連サイト

2015 年 2 月 6 日 プレスリリース 

JPARC の 3 GeV シンクロトロン加速器が性能を大幅に向上 1 MW 相当のビーム加速に成功 -≫ http://j-parc.jp/ja/topics/2015/Pulse150206.html

直後に集中しているコリメータ部の損失は荷電変換用炭 素薄膜における散乱に起因するもので、荷電変換入射 では原理的に避けられません。損失量は大強度ビーム においても概ねビーム強度に比例して大きくなっており、 最大ビーム強度(赤線)においても損失量が最小化され ていることが確認できます。それに対してアーク部では、 最大ビーム強度(赤線)においては加速中に有意なビー ム損失が確認されています。これは大強度ビームに対し て高周波加速電圧が不十分であるために生じているビー ム損失であり、今後 1 MW で利用運転を行うためには 高周波加速システムの電源を増強してより高い加速電圧 を得る必要があります。このように、連続運転における

課題を明らかにしたことも含め、1 MW のデモンストレーションを行ったことは、設計仕様値での利用運転の実 現に向けた大きな前進と言えます。2015 年の夏期停止期間中には高周波加速システムの電源を増強して 1 MW での利用運転に向けた準備を整え、その後は 1 MW を目指して段階的にビーム強度を増強していく予定です。

*1ディスパージョン

(13)

(1)KEK は人類の知的資産の拡大に貢献します

KEK は自然界に働く法則や物質の基本構造を探求することにより、人類の知的資産の拡大に貢献します。そ のために素粒子・原子核に関して、また、生命体を含む物質の構造・機能に関して高エネルギー加速器を用いた 実験的研究や、理論的研究を推進します。

(2)KEK は大学共同利用機関法人です

KEK は大学共同利用機関法人として、国内外の研究者に共同利用の場を提供し、加速器科学の最先端の研究 や、関連分野の研究を発展させます。

(3)KEK は世界に開かれた国際的な研究機関です

KEK は世界の加速器科学の研究拠点として、国際共同研究を積極的に推進します。また、アジア・オセアニア 地域に位置する研究機関として、諸機関との連携協力を重視し、同地域における加速器科学の中心的役割を果 たします。

(4)KEK は教育協力・人材育成を進めます

大学院などへの教育協力を行い、加速器科学分野の人材育成の活動を行います。また、総合研究大学院大学 の基盤組織として、加速器科学の推進及びその先端的研究分野の開拓を担う人材を養成します。

機構の役割と組織

機構の役割と組織について紹介します。

(14)

KEK の目指すもの

KEK では、最先端の大型粒子加速器を用いて、宇宙の起源、物質や生命の根源を探求しています。研究者の 自由な発想による「真理の追究」を目指して研究開発を推進しています。

この世界にある物質は、分子や原子の組み合わせからできています。その原子は原子核と電子から、原子核 は陽子と中性子から構成されています。さらに陽子と中性子の中を探ると、最も小さな構成要素(素粒子)である 「クォーク」にたどり着きます。一方、分子や原子の無数の集まりは私達の周りの様々な物質を構成し、その最も 進んだ一形態としての生命体にまで行き着きます。KEK は加速器を用いて、素粒子や原子核の研究から原子や分 子レベルでの物質の構造や機能の研究、生命体の生命活動の研究まで、幅広い基礎科学の研究を行っています。

高エネルギー加速器とは、電子や陽子などの粒子を、ほぼ光の速さまで加速して、高エネルギーの状態を作り 出す装置です。この高エネルギー状態から作られる素粒子の世界を研究すると、誕生直後の宇宙の様子を探るこ とができます。また、加速器が作る光や中性子、ミュオンなどの量子ビームは、倍率の高い顕微鏡として、これ までに見ることができなかった物質の構造や、生命活動の研究を行うことができます。

素粒子・原子核の世界の研究

宇宙は約 137 億年前(± 2 億年)のビ4ッグバンによって始まったと考えられています。宇宙が出来た当初は素粒 子の世界でした。望遠鏡や人工衛星で宇宙を眺めるのに対し、KEK は加速器を用いて宇宙の初期状態を再現す ることで宇宙の研究を行います。

物質の構造や機能の研究

電子加速器で電子の軌道を曲げたときに生じる「放射光」という強い光や、電子を金属標的に衝突させて発生 させる「陽電子」、陽子加速器で陽子を金属標的に衝突させ発生させる「中性子」や「ミュオン」という粒子を試 料に照射し、さまざまな物質の構造や機能を原子や分子のレベルでの詳細な観察をすることで、物理学、化学、 生物学、工学、農学、医学、薬学など幅広い分野の研究を行います。

(15)

素粒子原子核研究所が行っている研究の一例

機構の組織

研究所・研究施設紹介

■ 素粒子原子核研究所

素粒子原子核研究所では、素粒子物理学、原子核物理学、宇宙物理学といった、極微な世界から広大な宇宙 までの幅広い分野に対して、理論及び実験の両側面からの総合的研究を行っています。

つくばキャンパスには理論センターを設置し、素粒子論、原子核理論、宇宙物理学理論を網羅しています。また、

B4中間子研究のための Belle 実験施設が設置されています。 2015 年現在、Belle 検出器は Belle II 検出器へのアッ プグレード作業を行っています。より大量のデータを高い精度で測定することで、新しい物理法則探索への突破 口を開きます。

東海キャンパスには J-PARC 加速器を利用した実験施設が多数あります。ニュートリノ研究のための T2K 実験 施設は、295 km 離れたスーパーカミオカンデ(東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設)までニュート リノビームを飛ばし、ニュートリノ振動現象の精密測定を行っています。ハドロン実験施設や物質・生命科学実 験施設では、K 中間子実験やミュー粒子実験を行っています。

2015 年度に理化学研究所(埼玉県和光市)内に発足した和光原子核科学センターでは、共同利用装置である元 素選択型分離装置(KISS : KEK Isotope Separation System)の運転とともに、この装置を用いた中性子が過剰な 重い短寿命原子核の基礎特性や、短寿命原子核を用いた応用研究を行っています。

(16)

■ 加速器研究施設

加速器研究施設は KEK のすべての加速器の運転維持とビーム性能の向上を通じて、素粒子・原子核・物質・生 命などの共同利用実験で用いられるビームを、日本と世界の研究者に提供しています。また、さまざまな将来の 加速器科学と関連技術の研究、設計、開発に取り組んでいます。

つくばキャンパスでは、シンクロトロン放射光利用の世界的パイオニアであるフォトンファクトリー(P4Fと PF-AR)などで、共同利用実験を推進しています。2008 年のノーベル物理学賞の受賞を決定づけた KEKB(電子陽電 子リング及びリニアックから成るB4ファクトリー)の高度化計画である SuperKEKB の建設、及び次世代放射光源 の候補であるエ4ネルギー回収型リニアック(ERL)のための研究開発(cERL)に取り組んでいます。同時に、国4際リ

ニアコライダー(ILC)のための技術開発を試験加速器A4TFとS4TFなどで行っています。

東海キャンパスでは、日本原子力研究開発機構と共同で大強度陽子加速器施設(J-PARC)を運用し、物質・生 命科学実験施設、ニュートリノ実験施設、ハドロン実験施設に向けて大強度陽子ビームを供給しています。

例えば、磁性や伝導性など、物質がもつ多彩な性質を決定づける、原子の種類や並び、電子の振る舞いを調べ、 制御し、新しいテクノロジーの開発につながる物質科学。また、資源・エネルギー源の乏しい日本で求められる、 太陽電池や燃料電池普及のための水素貯蔵技術などの実現・普及、化学産業の低炭素グリーンプロセス化(低環 境負担化)など、持続可能な社会実現の実現を目指した研究を行っています。

そして生命科学の分野では、生命現象を担う巨大で複雑な分子であるタンパク質の立体構造を放射光によって 解明しています。タンパク質は、たった 20 種のアミノ酸が鎖のようにつながり、折りたたまれて立体構造をとる ことによって、初めて多様な機能を発揮します。タンパク質の立体構造を知ることは、その機能を見ることに等しく、 解明が進むことで病気発現の理解や、副作用の少ない新薬の開発へとつながります。

これらにより得られる機能発現に関する知見は、新素材や新機能の開発など、私たちの生活をより快適に、 便利にする応用研究にもつながっています。

このような研究を推進するため、物質構造科学研究所には、放射光科学研究系、中性子科学研究系、ミュオ ン科学研究系という研究手法ごとのグループの他、これらを横断的に活用する構造生物学研究センター、構造物 性研究センター、計測システム開発室があります。

フォトンファクトリー実験ホール(つくばキャンパス) 物質・生命科学実験施設実験ホール(J-PARC)

物質構造科学研究所では、電子加速器から発生する放射光や低速陽電子、陽子加速器から作られる中性子と ミュオンを使い、物質・生命の構造とそのダイナミクスを分子や原子のスケールで解明する基礎研究を行ってい ます。

(17)

スーパーコンピュータシステム A

(日立製作所 SR16000 モデル M1) J-PARC ニュートリノ実験用超伝導一次陽子ビームライン

大型加速器の開発・利用研究には、高度な技術支援が必要です。共通基盤研究施設には、放射線防護・環 境保全、コンピュータ、超伝導・低温技術、機械加工技術に関する基盤的研究を行うため 4 つのセンターが置 かれています。

放射線科学センターは、加速器の放射線防護・安全管理を行います。放射線を検出し挙動をシミュレーション する技術の開発、加速器で生成する放射化物の研究、環境放射能の分析を行っています。また加速器開発や実 験に使用する化学物質に関わる総合的な安全管理、分析法の開発を行っています。

計算科学センターは、コンピュータやネットワークの管理運用を行っています。大規模加速器実験のため共同 研究を行う多国間の研究機関とデータ・計算資源を共有するシステム開発を行っています。スーパーコンピュータ を使った大型シミュレーション研究のため、他機関と計算基礎科学連携拠点を作っています。

超伝導低温工学センターは、液体ヘリウムの供給と極低温技術支援を行っています。加速器の超伝導電磁石を 開発する国際的な拠点の 1 つです。極低温冷却技術で、大型低温重力波望遠鏡の建設にも協力を行っています。

機械工学センターは、加速器・実験装置開発のため、工作機械を使った製造と加工、組立、計測、設計を行っ ています。超伝導加速空洞の製造技術の開発、加速器でのロボット技術、低温環境での機器の特性評価などの 開発研究を行い、企業への技術移転も進めています。

■ 共通基盤研究施設

SuperKEKB 加速器(つくばキャンパス) J-PARC 主リングシンクロトロン(東海キャンパス)

(18)

■ J-PARCセンター

大強度陽子加速器施設 J-PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex)は、KEK と日本原子力研究開 発機構(JAEA)が共同で建設、運営する世界最高クラスの大強度陽子ビームを生成する加速器と、その大強度陽 子ビームを利用する実験施設で構成される最先端科学の研究施設です。高いエネルギーまで加速された陽子を 原子核標的に衝突させると、原子核反応により、中性子、K 中間子、π中間子、ミュオン、ニュートリノ、反陽 子などの多様な二次粒子が生成されます。これらの二次粒子を利用して、原子核物理、素粒子物理、物質科学、 生命科学、原子力工学の分野におけるさまざまな最先端の研究を進めています。加速器はリニアック(LINAC)、 3 GeV シンクロトロン(RCS)、50 GeV シンクロトロン(MR)で構成され、実験施設としては 3 GeV 陽子ビームに より生成される中性子とミュオンを利用する物質・生命科学実験施設(MLF)、MR からの陽子ビームを利用する ハドロン実験施設とニュートリノ実験施設があります。

MLF では、中性子やミュオンを用いて物質の構造や運動状態を解明し、新材料の開発などに役立てようとし ています。ニュートリノ実験施設では、MR を用いて発生させたニュートリノビームを射出し、295 km 離れた岐阜 県神岡にある 5 万トンの水を水槽にためた大型検出器スーパーカミオカンデで検出することにより、ニュートリノ の性質を解明するための T2K 実験を進めています。ハドロン実験施設では K 中間子、π中間子、ミュオンなど の 2 次粒子ビームを利用して、物質の起源の謎に迫る様々な研究が進められています。

J-PARC の加速器施設と実験施設

50 GeV䝅䞁䜽䝻䝖䝻䞁䠄MR䠅

3 GeV䝅䞁䜽䝻䝖䝻䞁䠄RCS䠅

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■ 総合研究大学院大学 高エネルギー加速器科学研究科

KEK は国立大学法人総合研究大学院大学の中核となる基盤機関として大学院生の 教育にも熱心に取り組んでいます。KEK の加速器研究施設及び共通基盤研究施設、 物質構造科学研究所そして素粒子原子核研究所にはそれぞれ、加速器科学専攻、 物質構造科学専攻、素粒子原子核専攻があり、これら 3 専攻から高エネルギー加速 器科学研究科が成り立っています。本研究科では、KEK で遂行される研究活動を基 礎に、全専攻が緊密に協力して幅広い分野の大学院教育を展開し、新しい時代の

(19)

基礎データ

合計:695 名 合計:54 名

役員 7 名 加速器科学専攻 9 名

所長・施設長 4 名 物質構造科学専攻 6 名

教員 357 名 素粒子原子核専攻 39 名

技術職員 167 名

事務職員等 160 名

■ 職員数(2014 年 4 月現在)    

■ 総合研究大学院大学学生数(2014 年 4 月現在)    

■ 予算(2014 年度計画)〔単位:百万円〕    

■ 施設(2014 年 4 月現在)    

■ 沿革    

収入:43,150 支出:43,150

運営費交付金 32,332 業務費(教育研究経費) 29,732

施設整備費補助金 6,212 施設整備費 6,273

補助金等収入 1,691 補助金等 1,691

産学連携等研究収入及び寄付金収入等 2,531 産学連携等研究経費及び寄付金事業費等 2,531

自己収入(雑収入) 245 長期借入金償還金 2,923

国立大学財務・経営センター施設費交付金 61

目的積立金取崩 79

敷地面積 建物面積

つくばキャンパス 1,531,286 m2  189,214 m2

東海キャンパス 101,177 m2 37,988 m2

1955 年 7 月 東京大学原子核研究所設立(東京都田無町 現:西東京市) 1971 年 4 月 高エネルギー物理学研究所設立(茨城県大穂町 現:つくば市)

1978 年 4 月 東京大学理学部付属施設中間子科学実験施設設立(茨城県大穂町 現:つくば市) 1997 年 4 月 高エネルギー加速器研究機構設立(上記の 3 つの組織を改組・転換)

2004 年 4 月 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構発足(法人化) 2005 年 4 月 東海キャンパスの設置

(20)

実績データ

■ 共同利用実験の申請・採択・実施状況    

項目 区分

2014 年度

申請件数 採択件数 実施件数

B ファクトリー実験 - - 1

放射光実験 452 435 787

中性子実験(J-PARC) 117 100 81

ミュオン実験(J-PARC) 82 76 55

ハドロン実験(J-PARC) 1 0 13

ニュートリノ実験(J-PARC) 3 2 3

大型シミュレーション研究 53 53 53

合計 708 666 993

■ 2014 年度共同研究者等受入

 〔延人日(実人数)〕

■ 2014 年度外国機関共同研究者受入

 (国・地域別)〔延人日(実人数)〕

■ 2014 年度発表論文数(共同利用・共同研究に基づくものを含む)

区分 論文数

素粒子原子核研究所 345 物質構造科学研究所 677

加速器研究施設 389

共通基盤研究施設 50

合計 1,461

合計 22,296 (1,636)

その他 573 (94) チェコ 132 (11) エジプト 178 (1) オーストリア 195 (25) オーストラリア 225 (33) ベトナム 262 (7) スロベニア 342 (19) マレーシア 452 (9) ポーランド 589 (38) イタリア 621 (90)

スイス 973 (54)

台湾 1,373 (65) フランス 977 (56) カナダ 1,077 (65) ドイツ 962 (145)

インド 1,527 (104)

イギリス 1,812 (113) 中国 1,764 (130)

ロシア 2,378 (82)

韓国 2,789 (236) 米国

3,095 (259)

合計 79,798 (8,156)

その他 24,933 (2,893)

先端加速器・ 測定器開発 2,807 (188)

J-PARC (ニュートリノ) 6,426 (317)

J-PARC (ハドロン)

9,218

(274) J-PARC (ミュオン)

1,111 (162) J-PARC (中性子) 3,010 (383)

放射光 共同利用

(21)

環境方針

環境マネジメント

KEK の環境配慮への取り組み状況を紹介します。

高エネルギー加速器研究機構 環境方針

◆ 基本理念

高エネルギー加速器研究機構は、研究・教育活動及びそれに伴うすべての事業活動において、地球環境の 保全を認識し、環境との調和と環境負荷の低減に努めます。

以上を念頭に置きつつ、研究・教育活動を積極的に推進するとともに、地球環境を維持・承継しつつ持続 的発展が可能な社会の構築を目指します。

◆ 基本方針

1. 省エネルギー、省資源、廃棄物の削減、放射線及び化学物質管理の徹底等を通じて、環境保全と環境 負荷の低減に努めます。

2. 環境関連法規、条例、協定及び自主基準を遵守します。

3. 環境配慮に関する情報公開を適切に行うとともに、地域社会の一員として地域の環境保全に貢献します。 4. 環境マネジメントシステムを確立し、継続的な改善を進めます。

5. 環境保全の目的及び目標を設定し、教職員の環境意識を向上させ、共同利用研究者、大学院生、外部関 連組織の関係者と協力してこれらの達成に努めます。

環境管理体制

KEK では、以下の組織で環境配慮活動に取り組んでいます。

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(22)

環境目標・計画と達成度

KEK の 2014 年度環境目標・環境計画の達成度を以下に示します。達成度の評価基準は p.20 に示します。

環境保全と環境負荷の低減

環境目標 行動計画 主な取り組み 評価

省エネルギー対策の 推進

年度計画終了時に検証、次年度の計画

を策定 年間使用見込をもって、次年度計画を策定 ○

省エネルギー等の教育啓発

電力使用状況をリアルタイムで機構 内へ周知

省エネパトロールを実施

○

情報の発信

年度計画を HP に掲載するなど周知徹底 施設部 HP に掲載、機構内へ周知 ○

光熱水の使用量を各種会議、HP で公表 省エネルギー連絡会等及び施設部HP で公表 ○

2014 年度の CO2排出量を公表 施設部 HP で公表 ○

実験機器の省エネル ギー、資源の有効活用 の推進

加速器及び実験装置に関する電力などエ ネルギー資源の使用による CO2の排出

削減に対して、〔投入エネルギー〕対〔研 究、教育等の成果〕の効率の向上

様々な基盤技術の開発と装置の改

善を実践 ○

省エネルギーにつながる実験装置の開

発の促進 ERL や超伝導の技術開発 ○

電磁石、電源その他の機器の再利用、 放射線遮蔽用鉄材料などの実験用材料

や機器の有効利用の促進 積極的に再利用を図っている ○

戦略的な執行を図る 各研究所、研究施設で実施 ○

将来型加速器の電磁石、加速装置等の

超伝導化 ILC、ERL 基礎研究を実施 ○

物品及び役務の調達・ 使用にあたっての配慮

低公害車の導入 更新時にはグリーン購入法適合車種の購入 ○

自動車の効率的利用 ・公用車等の効率的利用 ・業務連絡バス利用の促進

公用車の乗り合い及びエコドライブ 等の励行

会議等で業務連絡バスの利用状況 を発信し、積極利用を働きかけてい る

○

用紙類の使用量の削減

・会議用資料や事務手続の一層の簡素化 ・両面印刷、集約印刷の徹底

・不要となった用紙の裏面利用 ・使用済み封筒の再利用

ペーパーレス会議の実施や両面コ ピー・集約コピー等の実施を継続

(23)

環境目標 行動計画 主な取り組み 評価

物品及び役務の調達・ 使用にあたっての配慮

再生紙など再生品の活用、リサイクル可 能な製品の使用

コピー用紙を始め、トイレットペー パー等に至る用紙類は全て再生紙 を使用

文具類等既製品の購入は、環境物 品等の調達の推進を図るための方 針により、再生材使用品若しくはリ サイクル可能な製品を購入

納入業者に対し、メーカー出荷時 の最低限の包装のみでの納入、包 装材のリサイクル対応可能なものの 使用

○

自動販売機設置の見直し

・設置実態を把握し、更新時にエネルギー     消費のより少ない機種に変更

エネルギー使用量の少ない機種に

変更 ○

建築物の建築、 管理 等にあたっての配慮

温室効果ガスの排出の少ない空調設備

の導入 グリーン購入法の適合品及び効率の良い機器を設置 ○ 水の有効利用

・感知式の洗浄弁・自動水栓等の設置

改修工事等では給水装置に感知式 の洗浄弁・自動水栓等を使用 ○ 敷地内の環境の維持管理

・枝葉等の再利用、廃棄物の排出削減

剪定した枝葉等を、構内空地に敷 均することにより、循環させている ○

建築物建築等における省エネタイプの建 設機械の使用促進

排 出 ガ ス 対 策 型 建 設 機 械 及 び ディーゼル車排出ガス規制に適合し た車両を使用することを仕様書に明 記し、使用

○

その他抑制等への 配慮

廃棄物の減量

・シュレッダーの使用の抑制 ・トナーカートリッジの回収

・OA機器、家電製品等廃棄物の適正処理

シュレッダーの使用については最低 限の使用を呼び掛け、新たな処理 方法を取り入れている

トナーカートリッジは全て業者回収 各種廃棄物の処理は、適宜廃棄業 者へ依頼し適正に処理

○

職員に対する研修等

職員に対する地球温暖化対策に関する研 修の機会、情報提供

・環境配慮に関する研修への積極参加 ・環境配慮に関する情報の提供 ・省エネルギー対策のアイデアを募集

関連する講習会等へ職員が参加 HP や電子メールを活用して情報を 提供

省エネルギー連絡会を通して機構 職員へアイディアを求めた

○

評価基準

○ 目標を達成している

(24)

投入量

排出量

2014 年度環境負荷の全体像について以下に示します。

個別の項目の詳細については、次ページ以降に記載しています。

環境負荷の全体像

総エネルギー投入量

電力使用量

都市ガス使用量

石油燃料使用量

CO

2

排出量

一般廃棄物排出量

産業廃棄物排出量

実験系廃棄物排出量

下水道排出量

水資源使用量

※換算係数について

 1.2014 年度の総エネルギー投入量の計算に使用した係数は以下の通りです。   ・電力:9.97 GJ/MWh(昼間)、9.28 GJ/MWh(夜間)

  ・都市ガス:45.0 GJ/ 千 m3

  ・石油燃料:(ガソリン:34.6 GJ/kL・軽油:37.7 GJ/kL・A 重油:39.1 GJ/kL)  2.2014 年度の CO2排出量の計算に使用した係数は以下の通りです。

   都市ガス及び石油燃料は、エネルギー単位(GJ)に換算した後、下記係数をかけて求めています。   ・電力:0.551 t-CO2/MWh(国が定める 2014 年度報告用代替値)

  ・都市ガス:0.0499 t-CO2/GJ

  ・石油燃料:(ガソリン:0.0671 t-CO2/GJ・軽油:0.0686 t-CO2/GJ・A 重油:0.0693 t-CO2/GJ)

2,023 TJ

GWh

千 m

3

kL

203

1,496

37

千 m

3

234

115 千 t-CO

2

t

t

t

85

333

32

千 m

3

109

一般家庭と KEK の電力使用量

一般家庭 1 軒当たりの電力使用量は、1 月当たり 254.8 kWh(出典 東京電力、2014 年)で、1 年間で は 3,058 kWh(0.003 GWh)です。KEK の電力使用 量は一般家庭の約 68,000 軒分になります。

コラム

:10,000 軒

(25)

エネルギー

総エネルギー投入量 

■ 電力使用量   

■ 都市ガス使用量    

■ 石油燃料使用量   

2014 年度は、203,201 MWh の電力、1,496 千 m3の都市

ガス、32.8 kL のガソリン、3.5 kL の軽油、0.8 kL の A 重油 を使用しました。これらのエネルギー投入量を熱量に換算す ると 2,023 TJ(1 TJ = 1,000 GJ)であり、前年度に比べ 12% 増 となりました。

2014 年度は、J-PARC でハドロン実験施設以外の利用運 転が再開したことで、東海キャンパスの電力使用量は増加し ました。つくばキャンパスにおいては、電気料金の上昇に伴い、 加速器運転時間の抑制を行っており、電力使用量は減少しま した。また、省エネを励行しています。

主に実験室空調用及び実験冷却水用につくばキャンパスで のみ使用しており、加速器運転時間の抑制に関連し、使用 量は減少しました。

東日本大震災後、A 重油を燃料とした自家発電設備を稼 働していたため、使用量が増加していました。2012 年度から は震災前の水準に戻っており、増減は公用車のガソリン・軽 油の使用によるものです。

なお、つくば−東海間を往復する業務連絡バスの燃料は、 請負業者の事業負担であるため考慮していません。

都市ガス使用量の推移

0 100 200 300 400 500

2010 2011 2012 2013 2014 GWh

年度

つくば 東海

158 257 178

304 203 0 100 200 300 400

2010 2011 2012 2013 2014 万m3

年度

165 175 190 245

150

※ 1軽油の換算係数は、2011 年度以降は 37.7 GJ/kL、2010 年度以

前は 38.2 GJ/kL を使用しています。

※ 2J-PARC の電力使用量については、JAEA との協議による分担分

を記載しています。

電力使用量の推移※ 2

0 20 40 60

2010 2011 2012 2013 2014 kL

年度

55

37 32 48

37

石油燃料使用量の推移

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000

2010 2011 2012 2013 2014 TJ

年度

つくば 東海

2,023 3,040

1,601 2,555 1,800

(26)

温室効果ガス

KEK 全体の排出量    

一般需要による排出量

2014 年度の総二酸化炭素排出量は 115,409 t-CO2でした。

その内訳は電力使用量によるものが 95% 以上を占めていま す。J-PARC で、ハドロン実験施設以外の利用運転が再開し たことから、東海キャンパスにおいて増加しました。また、 つくばキャンパスにおいては、加速器運転時間の抑制により 減少しました。

加速器施設などの運転以外に使用している研究棟、管理 棟などの一般電力と都市ガス及び石油燃料等の一般需要に よる二酸化炭素排出量について、「機構における地球温暖化 対策のための計画書」で 2012 年度までに 2006 年度比 5% 減の目標を設定し、達成しました。

2012 年度以降は、同 2006 年度比 5% 減の目標値を維持 することにし、二酸化炭素排出量削減のため、省エネパト ロール、エネルギー使用量の職員への周知徹底などの努力 を行いました。2014 年度は、2013 年度と比べると 2% 減で、 2006 年度比では 13% 減となり、5% 減の目標達成を維持し ました。

■ 太陽光発電発電量

KEK つくばキャンパスでは、太陽光発電設備を 管理棟(50 kW)と 4 号館(17 kW)の屋上に設置 しています。2014 年度は、合わせて 84 MWh を 発電しました。

太陽光発電発電量の推移

0 50 100 150

2010 2011 2012 2013 2014 MWh

年度

4号館 管理棟

84 78 86 87 84

※ 1電力の換算係数は、2014 年度は、0.551 t-CO

2、2012,213 年度

は 0.550 t-CO2、2011 年度は 0.559 t-CO2/MWh、2010 年度以前

は 0.555 t-CO2/GJ を、都市ガスの換算係数は、2011 年度以降は

0.0499 t-CO2/GJ を、2010 年度以前は 0.506 t-CO2/GJ を使用し

ています。

3.2

2.6 2.9 2.7 0 1 2 3 4 5

2010 2011 2012 2013 2014 千t-CO2

年度

都市ガス 石油燃料

電力

目標値

2.6 2.9 3.0 2.9 3.2

0 100 200 300

2010 2011 2012 2013 2014 千t-CO2

年度

つくば 東海

102 175

115

92 146

一般需要による CO2排出量の推移※ 1

(27)

物質

印刷用紙

2014 年度の印刷用紙購入量は約 18 t と減少しました。 KEK ではペーパーレス会議の開催に努めており、これに よる印刷用紙の削減量は年間約 2.8 t にのぼります。今後 とも申請書等の電子化、ペーパーレス会議の効率的な開 催、両面印刷の徹底など、紙の使用量削減に努めていき ます。

印刷用紙購入量の推移

グリーン購入

グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)を遵守し、環境負荷低減に資する製品・ サービス(特定調達品目)などの調達を進めるとともに、毎年その実績を関係省庁に報告しています。

2014 年度における特定調達品目の調達状況は、下記の通りです。

2015 年度以降も引き続き機構内への周知徹底を図り、全ての調達において継続して適合商品を購入すること に努めていきます。

分野 品目例 全調達量 特定調達品目調達量 特定調達品目調達率

紙類 コピー用紙など 21,800 kg 21,800 kg 100% 文具類 ボールペンなど 63,875 個 63,875 個 100%

オフィス家具等 什器など 647 台 647 台 100%

OA 機器 コピー機など 20,793 台 20,793 台 100%

移動電話 携帯電話 2 台 2 台 100%

家電製品 冷蔵庫など 67 台 67 台 100%

エアコンディショナー等 エアコンなど 14 台 14 台 100%

照明 蛍光灯など 3,274 本 3,274 本 100%

自動車等 乗用車用タイヤなど 57 本 57 本 100%

消火器 消火器 21 本 21 本 100%

制服・作業服 作業服など 2,132 着 2,132 着 100% インテリア・寝装寝具 カーテンなど 406 枚 406 枚 100% 作業手袋 作業手袋 21,668 組 21,668 組 100% その他繊維製品 ブルーシートなど 20 枚 20 枚 100%

役務 印刷など 8,397 件 8,397 件 100%

※各調達数量は分野ごとの品目をすべて集計しています。

0 10 20 30 40 50

2010 2011 2012 2013 2014 t

年度

18

22 21 22 29

(28)

廃棄物

一般廃棄物として 78 t の可燃物、8 t の不燃物を排出しました。2013 年度に比べ微減しました。今後もゴミの 分別やリサイクルに対する意識の向上に努めていきます。

産業廃棄物 333 t の大部分はプラスチック類や、木屑、がれき、コンクリートなどが占めています。2014 年度は、 工事等によるコンクリートや木屑類などの排出量は減少しました。産業廃棄物としての金属屑はほとんど発生せ ず、リサイクルのために売却することができました(p.26 リサイクル参照)。また、PCB 廃棄物の処理は行いませ んでした。今後も、廃棄物の内容を十分に把握し、適切な処理を行っていきます。

■ 一般廃棄物

■ 産業廃棄物

2010 年度 2011 年度 2012 年度 2013 年度 2014 年度 可燃物 93,460 75,070 74,180 78,190 77,710 不燃物 9,360 7,720 8,610 10,440 7,740 合計 102,820 82,790 82,790 88,630 85,450 ( 単位:kg)

2010 年度 2011 年度 2012 年度 2013 年度 2014 年度 プラスチック 199,795 82,750 129,840 131,600 127,520 木屑 59,340 34,290 303,680 204,050 171,090 金属類 6,780 1,000 2,010 0 160 コンクリート、がれき類 9,540 43,820 99,290 52,870 34,119 蛍光灯 1,600 2,000 1,100 1,800 550

蓄電池 320 640 2,100 509 10

PCB 廃棄物 3,683 0 6,311 0 0

合計 281,058 164,500 544,331 390,829 333,449 ( 単位:kg)

一般廃棄物排出の推移(5 年間)

産業廃棄物排出の推移(5 年間)

■ 実験系廃棄物

(29)

■ リサイクル

古新聞、古雑誌を古紙として、専門業者に売却しています。また、使用を終了した実験機器や部品、工作加 工に伴う金属材料の端材などの金属廃棄物のうち、鉄、銅、アルミニウム、鉛、真鍮、ステンレスを分別して回 収し、専門業者に売却しています。産業廃棄物として金属類は 160 kg に対し、465 t の金属類がリサイクルのた めに売却されており、使用済みとなった金属資材の大部分が有効利用されています。

2010 年度 2011 年度 2012 年度 2013 年度 2014 年度 無機廃液 3,711 5,672 5,086 2,443 3,175 有機廃液 6,888 3,788 5,819 5,071 22,789 廃油 2,790 5,748 1,408 14,306 3,465

写真廃液 0 602 0 0 0

廃水銀 0 0 0 313 0

固形物他 2,697 2,189 1,958 2,258 2,516 合計 16,086 17,999 14,271 24,391 31,945 ( 単位:kg)

2010 年度 2011 年度 2012 年度 2013 年度 2014 年度 古紙 19,290 64,030 59,430 65,190 49,420 金属屑 827,510 725,120 716,500 1,012,420 464,700 合計 846,800 789,150 775,930 1,077,610 514,120 ( 単位:kg)

実験系廃棄物排出の推移(5 年間)

リサイクル(売却)の推移(5 年間)

■ 放射性廃棄物

放射性廃棄物は、50 Lドラム缶に充填し、日本アイソトープ協会へ減容処理・保管を依頼しています。2014 年 度は、つくばキャンパスからの搬出はなく、東海キャンパスより 23,160 L 搬出し、協会に引き渡しました。機構 内での放射性廃棄物の保管については、p.33 放射線管理をご覧ください。

2010 年度 2011 年度 2012 年度 2013 年度 2014 年度

つくばキャンパス 0 0 0 0 0

東海キャンパス(J-PARC) 1,473 6,600 6,790 17,422 23,160 合計 1,473 6,600 6,790 17,422 23,160 ( 単位:L)

(30)

水資源

使用量

排出量

KEK では、上水のほかに、つくばキャンパスでは井水、 東海キャンパスでは工水(工業用水)を使用しています。 井水や工水は、実験装置冷却水や空調設備のクーリング タワー(冷却塔)の循環水、便所洗浄水等に使用してい ます。2013 年度に比べ、上水の使用量は減少し、井水 の使用量は増加しました。

工水については、J-PARC でハドロン実験施設以外の 利用運転が再開したことから、大きく増加しました。

2014 年度、つくばキャンパスからは、105 千 m3の排

水を公共下水道に排出しました。2013 年度に比べ 4% 増となっています。排水については定期的に水質を検査 し、汚染物質の排出を監視しています。つくば市下水道 条例に定められた排水基準を超えることはありませんで した。

東海キャンパスの東海 1 号館地区からの排水は、下 水道に排出していますが、排出量を計測していないため、 上水使用量を下水道排出量と見なしています。

J-PARC の排水については、水質検査を行い、水質を 確認した後、原科研内第 2 排水溝より海域に放流して いますが、排出量は把握していません。

下水道排出量の推移

東海(工水) 東海(上水)

つくば(井水) つくば(上水)

0 100 200 300 400 500

2010 2011 2012 2013 2014 千m3

年度

306 203

298

234 224

0 50 100 150 200

2010 2011 2012 2013 2014 千m3

年度

つくば 東海

123 120

95 104 109

水資源使用量の推移※ 1 ※ 1J-PARC の上水及び工水は、JAEA との協議による分担分を

(31)

その他の資源

ヘリウム

ヘリウムは、元素中で最も低い沸点(-269℃ , 1 気圧)を持ち、最も軽く、化学的にも放射線的にも非常に安定 な元素です。これらの性質故に、ヘリウムは、病院の MRI 等の超伝導機器、ガラスファイバーや半導体製造な どの先端技術に必要不可欠な元素となっています。このため、ヘリウムの消費量は年々増加する傾向にあります。 一方、ヘリウムは地球上において希少な資源であるだけでなく、限られた天然ガス田からの副産物としてしか生 産されず、ヘリウムの需給は不安定です。

KEK においてヘリウムは、極低温実験や超伝導技術開発用の冷媒として非常に重要な役割を持っています。超 伝導技術は省エネルギー技術として重要な環境技術の一つで、その開発は KEK の環境技術への貢献の一つの柱 となっています。KEK での液体ヘリウムの需要は、下図の通り、一研究機関の需要としては非常に大きなものです。 このため KEK では、ヘリウムの循環再利用は大きな責務として捉え、冷媒として供給した液体ヘリウムを使用後 にガスヘリウムとして回収し再利用しています。回収は下図の通り比較的高い回収率で行われていますが、回収 液化設備の拡充やユーザーへの教育を通して更なる回収率の向上に努力しています。

KEK における液体ヘリウムの供給とガスヘリウムの回収率 2011 年における東海の回収率減少は東日本大震災の影響

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(32)

大気

NOx、ばいじん

大気中への化学物質の排出

KEK では冷水の製造のために冷温水発生機を使用していますが、燃料に都市ガスを用いるため、大気汚染物 質の窒素酸化物(NOx)及びばいじんが排出されます。つくばキャンパス PFエネルギーセンターの冷温水発生機 4 台、真空温水発生機 2 台について、10 月と 3 月に行った窒素酸化物の測定結果を以下に示します。測定結果 は排出基準値 150 ppm 以下で問題ありませんでした。ばいじんについては 10 月と 3 月に測定しましたが、いず れの発生機でも排出基準 0.05 g/m3を超えることはありませんでした。

KEK で実験等に使用される化学薬品のうち、揮発性の有機溶剤については使用後に回収し、揮散したものは 活性炭吸着等により大気中に排出しないよう努めています。2014 年度の調査によると、KEK 全体で最大 397 kg の有機溶剤が大気中に排出されたと考えられます。部品等の洗浄、器具の消毒・滅菌等の作業により放出され たものが多くを占めています。今後、大気中への排出を減らすため、作業方法の見直し、設備の整備などを行っ ていく予定です。特に、水質検査で使用されるノルマルヘキサンは、有害大気汚染物質に該当する可能性がある 化学物質のひとつであり、排出量ゼロを目指して取り組みを行っていきます。

2014 年度窒素酸化物(NOx)の排出濃度(ppm)(PFエネルギーセンター)

冷温水機 1 冷温水機 2 冷温水機 3 冷温水機 4 真空温水機 1 真空温水機 2

10 月 27 26 27 53 74 65

3 月 23 32 24 48 66 64

化学薬品名 排出量(kg) 作業内容

エタノール 213 部品の洗浄、器具の消毒・滅菌

アセトン 84 部品の洗浄

ソルミクス 49 部品の洗浄 ノルマルヘキサン 26 水質検査

その他 25 部品の洗浄など

合計 397

図

図 3. LaFeAs(O1-xHx)の電子状態相図 左は 2012 年に発見された超伝導相(ピンク色部分)。右が今回発見された磁気秩序相(右側の青色部分)を含む相図。 ● がミュオンと中性子により同定された磁気転移温度。 ■ が放射光により同定された構造変化の温度。 ここから研究者にとって、不透明な箱の中身を探る作業が始まります。超伝導が出るのか、あるいは ..
図 4 左 . 中性子で同定された磁気構造。赤と青の矢印は Fe2As2 層で鉄イオンが持つ磁気モーメントの向きを示したもの。 図 4 右 . 放射光 X 線で同定された構造変化。構造変化に伴う鉄の原子位置の変化の向きと大きさを模式的に示したもの。 関連サイト 2014 年 6 月 9 日 KEK ハイライト 「観る」ということ  ≫ http://www.kek.jp/ja/NewsRoom/Highlights/20140609130000/ この実験を中心的に行ってきたのは、平石雅俊 KEK 物構研博
図 2. セシウムイオンが層構造に吸着したときのバーミキュライトの構造変化 が原因で 2 つの層がはがれることもわかりました(図 2b)。これは、一つのセシウムイオンが 2 つの層の間に吸 着すると、その隣にもセシウムイオンが吸着しやすくなるため、2 つの層がはがれやすくなるのだと考えられます。さらに、はがれた 2 つの層の表面も新たな吸着サイトになることから、バーミキュライトはドミノ倒しのように次々とセシウムイオンを吸着していく特異な性質をもつことが明らかになりました。図 3 に、セシウムイオンの吸着に併

参照

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